「京津線」の61‰勾配

 普通鉄道では35‰が相当な急勾配とされ、これを上回る勾配は特例とされています。「京阪電鉄京津線」には、その中で61‰という「日本」で4番目の急勾配区間があります。

「日本」の普通鉄道の勾配順位(※現役のみ)
1位:「大井川鉄道井川線」・90‰
2位:「箱根登山鉄道鉄道線」・80‰
3位:「都電荒川線」ほか・66.7‰(ほかの路面電車にもありそう)
4位:「京阪京津線」・61‰


「大谷駅」(30‰上り)
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 以前紹介した「大谷駅」を運転席からも見ました。こうしてみても、傾きがよくわかります。

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 「京津線」の最少曲線半径は40m(恐らく「浜大津」付近)、このカーブの半径はわかりませんが、相当急です。100mあるかないかでしょうか?

40‰上り→0‰
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 40‰分の勾配変化がわかります。水平でも下っているように見えます。

0‰→41.1‰下り
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 山越えをしてから、40~61‰クラスの下り勾配が「琵琶湖」方面へ連続しています。

41.1‰下り→61‰下り
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 隣接道路の下をくぐっていく手前に61‰勾配があります。

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 写真左下に61‰勾配標記があります。奥の道路が水平に近いであろうことを考えると、この線路がいかに急なのかがわかります。ちなみに、61‰は、高速道路やバイパスのインターチェンジランプの勾配に匹敵します。

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 急勾配を下った直後に急カーブがあるため、列車はかなり徐行しています。
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「蹴上インクライン」

 「琵琶湖疎水」の名所の一つである「蹴上インクライン」を見てきたのでうpします。

「琵琶湖疎水」は海抜85mの「琵琶湖」と海抜40m台の「京都盆地」を、自然高低差を利用した水路で明治18~23年(1885~1890年)に建設されました。「琵琶湖疎水」は「京都盆地」への水供給のほかに舟による水運として利用されていることから、大部分が1/2000~1/3000という緩勾配で結ぶため、直線距離で9kmしか離れていない両地点の40m以上の高低差をこの勾配で結びきれませんでした(すべてこの勾配で結んだら全長は少なくとも80㎞になる)。水路自体はこの高低差でも問題はありませんが、舟を確実に輸送するためにはこの高低差をどこかで解消する必要があります。そこで造られたのが「蹴上インクライン」です。

 「蹴上インクライン」は、言い換えれば船のケーブルカーで、全長582m、36m分の高低差を1/15(66.7‰)勾配で一気に結びます。ここでは斜面上に超広軌な線路が敷かれ、水運用の舟を専用台車に乗せてウインチで上下させます。

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「琵琶湖疎水」の概要

「琵琶湖」(水面標高約85m)

1/3000~1/2000勾配(0.33~0.5‰)で「京都」へ

「蹴上インクライン」上部(標高約82m、地形図から推定)

1/15勾配(66.7‰)のインクラインで36m降下

「蹴上インクライン」下部(標高約46m、高低差を引き算して推定)


 これから、上から下へ移動します。

インクライン上部
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 インクラインの上部です。写真奥は「琵琶湖方面」で、山を貫くトンネルがすぐ近くに見えます。

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 水路とインクラインの境です。インクライン用の線路は水路にある程度沈み、水中に潜り込んだ台車に直接舟が乗り上げ、インクライン輸送に移ります。

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 反対方向から見ます。展示用に当時の舟が展示されています。

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 横から見ると、一風変わった貨物列車みたいです。

インクライン上
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 これからインクラインを歩きます。少し離れたところから見ると、勾配が変わっているのがよくわかります。

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 インクライン上部から下を眺めます。かなりの急勾配で景色がいいです。高低差は、一般的なジェットコースター並みです。ここから列車を自由走行させたらどこまでスピードが出るのでしょうか?

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 インクラインは当時のまま保存されています。バラスト軌道で少々歩きづらいですが、一部に石畳が置かれています。

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 線路はかなりの年季が入り、奥までしっかりさびている感じです。

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 木性枕木は、下方向に大きく座屈しています。この勾配では重力の約1/15倍もの力が斜面下方にかかり続けます。それに加えてインクラインの役目上線路幅がかなり広くその分枕木が長く重いため、一般的な鉄道路線と比べて座屈が大きくなりやすいのでしょう。

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 インクラインの勾配を真横から撮影。かなりの傾きです。この1/15勾配は、鉄道でいう66.7‰勾配。この勾配は、かつての「信越本線」「横川~「軽井沢」間、そしてこのインクラインの隣にかつて走っていた「京津線」に採用されていました。

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 インクライン中腹から上と下を撮影。隣に見える道路には、かつて「京津線」が走っていました。

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 途中に台車と舟が展示されていました。

インクライン下部
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 インクラインの下部です。ここにてようやく「京都盆地」の標高になりました。現在ここは公園の池と噴水になっています。ここでジェットコースター兼ウォータースライダーをやったら面白そうです。

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 下部から上を見てみます。

横の道路より
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 インクラインは途中で周囲の土地より高くなるため、レンガ造りの高架橋が造られました。

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 レンガアーチの内部構造に注目。レンガが斜めに積み上げられ、レンガは内部でらせんを描いています。これは「ねじり間歩」と呼ばれる組み方で、大量の荷物を積んだ船の重量と、斜めに交差する線路がのしかかることで生じる歪な力に耐えるために採用されました。

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 最後に、インクラインの隣の道路を撮影。ここじはかつて「京阪京津線」が66.7‰勾配で通っていました。今は地下鉄「東山線」に乗り入れてこの地下を走っています。

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 反対の「大津」方面を撮影。かなりの勾配です。

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 断面から見てもすさまじいです。ここを数十t以上の列車が走っていたのが驚きです。

30‰上の駅

 「京都府」と「滋賀県」を結ぶ「京阪京津線」にある「大谷駅」は、30‰勾配区間にあり、「明智鉄道明智線」の「野志駅」と並び、普通鉄道としては「日本」で2番目に急勾配な駅です。ちなみに1番は「明智鉄道明智線」の「飯沼駅」の33‰です。

 「軌道建設規定」では、駅坑内の線路勾配は10‰以下にすることを義務づけています。このため、これらの駅は特別に認可されて造られました。

 「明智鉄道明智線」の「飯沼駅」(33‰)と「野志駅」(30‰)は、それぞれ平成3年(1991年)、平成6年(1994年)と本線開業の50年以上たってから造られましたが、これは急勾配上でも坂道発進ができる車両が導入されたためです。

 対し、「京津線」の「大谷駅」が開業したのは大正元年(1912年)と、かなりの昔です。もちろん当時の内務大臣の特別認可を受けています。

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 「大谷駅」の様子です。一見するとのどかなローカル駅で、景色にも突出した特徴はありません。

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 しかし、真横から見ると勾配が一目瞭然です。この写真は、本当に(自分の感で)水平にして撮りました。30‰は、道路でいう3%、角度でいう約1.7°と緩やかですが、鉄道にとっては驚異的な勾配です。

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 プラットホーム上の長いすも、水平にするために脚の長さを変えてあります。写真から脚と水平の長さ比を確認したところ、プラットホームの傾きは30‰だと確認できました。
椅子は水平で、長さ100と仮定→脚の長さ比はちょうど3=ホームは30‰勾配。

下から上り方向
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上から下り方向
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 勾配を意識して撮影すると、確かに坂道上の風景に見えてきます。

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 プラットホームの下に、33.3‰と40‰を示す勾配標記がありました。これは、この駅が実はこの勾配なのでしょうか?それとも駅の30‰勾配の両側は33.3‰、40‰で、駅はその勾配の間に位置し、少し緩やかになっているということでしょうか?

新幹線(弾丸列車)のために造られたトンネル

 「東海道新幹線」のトンネルのうち「丹那トンネル」、「日本坂トンネル」、「新東山トンネル」は、新幹線の元祖である弾丸列車計画の一冠で戦前に建設されました。「日本坂トンネル」は昭和19年(1944年)に完成してその後18年間は「東海道本線」が間借りしました。
 「丹那トンネル」も途中まで掘られて戦後の「東海道新幹線」建設の建設に貢献しました。

 そして「東山トンネル」もそんな戦前建設トンネルの一つです。そしてこのトンネルは、「東海道本線」の線路としてのちに利用されました。

東山トンネル
 「東山トンネル」は地図の赤線で示す場所にあり、「京都駅」の東側に位置します。現在は「東海道本線」のトンネルで、「東海道新幹線」は南側に「新東山トンネル」として掘削されています。

 「東海道本線」の「東山トンネル」は現在複々線で、単線断面のトンネルが4本掘られていますが、「弾丸列車」計画時は複線でした。この区間に並行して「弾丸列車」を走らせる計画が挙がり、「新東山トンネル」は昭和16年(1941年)8月に着工。トンネル自体は単線ですが、新幹線に転用できるように設計変更をしたらしく、当分は「東海道本線」の増設扱いで、現在の下り線内側にあたります。目的は戦時中の列車本数増加で増えた補助機関車の回送を円滑にすることで、昭和19年(1944年)12月1日に完成し上り2線、下り1線の3線となりました(「膳所」~「京都」間)。ちょうど「日本坂トンネル」での間借りが始まった時期でもあります。

 この区間は昭和31年(1956年)11月19日に電化に伴い機関車の回送がほぼなくなったことから複線に戻されましたが(どのトンネルを放棄したかは不明)、14年後の昭和45年(1970年)2月23日に、複々線化されました。増設された線路は一番南側で、ちょうど「東海道新幹線」と接します。

「東山トンネル」西側坑口を俯瞰
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 「東山トンネル」西側坑口はすぐ近くの跨線橋からよく見ることができます。このように、4本のトンネル(右端は洞門になっている)が並んでいます。かつては左側2本の複線でしたが、右側が1本ずつ建設されて複々線となりました。
 そして、新幹線(弾丸列車)として掘られたといわれているトンネルが右から2番目の黄色○で囲ってあるものです。他のトンネルと比べて若干大きく広く見えます。

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 このトンネルを拡大してみます。通常の馬蹄形型トンネルと比べて下側が幅広になっています。普通の鉄道車両よりも大きめの弾丸列車を通すために断面を大きくしているのでは?と言われています。

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 現在の列車と比較しても下側がかなり幅広です。一方で、高さは普通のようです。

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 ほかのトンネルは馬蹄形やU字型で、明らかに形が違います。従来の在来線トンネルは写真のように通過列車と下側の壁がもうちょい迫っています。

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 左側(北側)の2本のトンネルを拡大します。この2本は大正10年(1921年)と、蒸気機関車時代に掘られているため、坑口横には排煙用の横穴が空いています。

「東山トンネル」東側
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 一方、このトンネルの東側坑口は、通常の在来線の断面です。ちゃんと下側が狭まっています。

「東山トンネル」西側出口
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 再び西側坑口を中から見てみました。ちゃんとした側が広がっています。トンネル内のどこかで断面が変わったのでしょうが、運転席後ろから1回見ただけではよくわかりませんでした。この断面変化は、弾丸列車計画の中止や、「東海道本線」への転用などの方針変更から変わったのでしょうか?(詳しい資料がないのでよくわかりません)


 西側跨線橋について
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 この跨線橋は歩行者専用のいわゆる歩道橋のようなもので手すりが低く簡易なため渡るとかなりの迫力があり、思う存分「東海道本線」の複々線を堪能できます。

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 そしてこの跨線橋の柱には古いレールが使われています。

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 周囲の柵にもレールが使われています。後で知りましたが、近くには双頭レールもあります。このことはレイルエンヂニアリングにも記載されています(http://oomatipalk2.blog91.fc2.com/blog-entry-266.html)。

【動画】『新幹線を間借りした鉄道 その5 「阪急京都本線」の間借り【前編】』

 新幹線を間借りした鉄道路線では、恐らく一番有名な「阪急京都本線」の間借りを紹介します。最初は1話完結の予定でしたが、長くなりすぎたので【前編】、【後編】に分けました。【前編】では間借りの経緯、【後編】では空中写真などからの検証などをしていきます。



 かなり久しぶりに(1年くらい)動画が10分を切りましたが、やはり最近の10分越えと比べて作成の手間、特に投稿直前の間違い探しがかなり楽になった気がします。今後造る動画も10分以内に収めたいところですが、大体は予想以上にオーバーします。

次回予定
『新幹線を間借りした鉄道 その6 「阪急京都本線」の間借り【後編】』


次々回予定
『新幹線を間借りした鉄道 その7 「えちぜん鉄道」の間借り』(間借りシリーズ最終話)

三線以上の軌条 その4 六線軌条

 適当にググっていたら、三線軌条や四線軌条を凌駕する六線軌条が「ドイツ」の「ロッセタール鉄道」にありました。ドイツ語Wikipediaや「地図と鉄道のブログ」によれば、旅客電車と貨物列車を共存させるための秘策で造られたそうです。

Waldkappeler Bahn の六線軌条
Wikipediaより。 六線軌条の「ニーダーカウフンゲン中央停留所」です。パッと見何が何だかわけわかりません。奥の分岐器とプラットホームとの関係をよく見ると、元は単線かつ線路2本の普通の鉄道ですが、2本の線路を左右のプラットホーム側に寄せるためにそれぞれ分岐させ、位置が少しずれているためここだけ6線になっています。

最終案
 平面図にするとこんな感じです。オレンジの真ん中の線路が通過線、上と下の青線と赤線が停止線です。線路のインパクトはすさまじいですが、三線軌条や四線軌条の分岐器と比べて案外シンプルともいえます。線路同士がクロスしていないためでしょうか。


どうしてこうなったのか?


Wikipedia(https://de.wikipedia.org/wiki/Bahnstrecke_Kassel%E2%80%93Waldkappel)や「地図と鉄道のブログ」(http://homipage.cocolog-nifty.com/map/2011/12/6-2aaa.html)によると、六線軌条の目的は、幅が広い貨物列車の車両(積載荷物)と、比較して狭い旅客電車の車両の両方を走らせることです。

 この路線は、少し前まで旅客鉄道がしばらく通っていない時期(貨物列車のみ走行)がありましたが、2001年にLRT(路面電車の近代バージョンみたいな感じ)として旅客運送が復活しました。その際造られたホームの配置が問題になりました。貨物列車の車体の幅が相対的に大きく、旅客列車に合わせてホームを造ると、貨物列車と接触。逆に貨物列車を避けるようにホームを造ると、旅客列車との間に隙間ができます。そこで、この六線軌条が採用されました。

 「ニーダーカウフンゲン中央停留所」以外では変則的なホームの配置、四線軌条、貨物線路と旅客線路の完全分離などで対応しています。
 わざわざホームを2つ造らず片側だけにすれば四線軌条で済みそうですが、恐らく上下線のホームを分けたり、列車の進行方向から見て片方の扉だけ常に開閉できるようにしたい(もしくは車両の片側にしかドアがない)などの理由でこうなったのかもしれません。

三線以上の軌条 その3 三徳線路と四徳線路

 前回紹介した四線軌条は、2種類の軌間をもつ、いわゆる二徳線路でした。しかし、世の中にはそれを上回る三徳線路や四徳なるものがありました。つまり、4本の線路で3、4種の軌間をもつという、カオスな線路です。ちなみに、これらの鉄道写真は英語版Wikiに載っています。

四線三徳線路

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 四線軌条の三徳線路の図です。4本の線路を巧妙に配置して1067mm、1435mm、1600mmという3種の軌間を作り上げています。

オーストラリア・グラッドストーン操車場内の四線軌条(1600mm,1435mm,1067mm
 「オーストラリア」の「グラッドストーン操車場」にある三徳線路です。軌間は1067mm、1435mm、1600mmです。上の断面図と同じ配置をしています。

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 こちらは「イギリス」の三徳線路です。写真を見る限りではいくつかの軌間は使用されてなさそうですが、複雑すぎて何が何だかわかりません。一番上の図を参考にどの線路をどう使うか想像して見てください。

現役の三徳線路です。昔はもっと多くあったものの廃止されて、以下の地域で残っています。

「フランス」:ラトゥール・ド・キャロル: 1,000 mm、1,435 mm、1,668 mm

「フランス」:アンダイユ: 1,000 mm、1,435 mm、1,668 mm

「スイス」:モントルー: 800 mm 、1,000 mm 、1,435 mm

「オーストラリア」:Jenbach :760 mm 、1,000 mm、1,435 mm



五線四徳線路(構想?)
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 構想に終わったのか、実際にどこかで使われたのか?5本の線路を使った4種の軌間を持つせんろが図面にありました。1067mm、1435mm、1524mm、1676mmの軌間を持ちます。旅客路線や分岐器にこんなものが使われたらとてつもなく複雑になるでしょう。英語版Wikiによれば、世界のどこかの車両基地には4種の軌間を持つ線路があるようです。


三線以上の軌条 その2 四線軌条

 今回は、四線軌条を紹介します。

 四線軌条は、2種の軌間を同じ路盤に乗せるもので、目的は三線軌条と同じです。違いは、4本の線路を使用している点です。三線軌条では、四線軌条と比べて使用レールが少なく構造もシンプルになりますが、狭い軌間を走る列車の重心が広い軌間を走る列車の重心とずれるため、駅のホーム通過時に支障になります。そこで両列車の重心を一致させるために、狭い軌間の線路を広い軌間の線路の間に置くようにし、これが四線軌条となりました。

普通の四線軌条
橿原神宮前no
 四線軌条は構造が複雑なため、列車本数が多く線路の負担が大きい「日本」ではほとんど見られません。ごく一部の車庫(軌間の異なる路線を共有する車両基地)などで見られます。
 写真は「近鉄」の「樫原神宮前駅」の構内です。この駅では軌間が1435mmの「樫原線」と1067mmの「南大阪線、吉野線」が乗り入れ、車庫では両線路が入り組みます。そこで、一部の線路が四線軌条になっています。1435mm軌道の間に1067mm軌道が入っています。


軌間が同じな四線軌条:ガントレット(単複線)
Gantlet_rough_sketch_penpen.png
 以前に紹介しましたが、ここでも再びあげます。複線路線でも、用地が狭くて単線にせざる負えない場所があります。こういう時は分岐器で単線化することが多いですが、中には線路が完全に合流せず、互いをわずかにずらして重ね合う方式が取られることがあります。これをガントレット(単複線)といいます。
 言い換えれば軌間の同じ四線軌条です。

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 「イギリス」のガントレットです。かつては「日本」にもありましたが、今は廃止されてありません。


互い違いな四線軌条
 四線軌条は「日本」の場合、両列車の重心を一致させるために2種の軌道の中心位置が同じになっています。つまり、広い軌間の真ん中に狭い軌間を置いています。しかし、なかには先ほど挙げたガントレット(単複線)のように2種の軌道を少しずらして配置することがあります。
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 次は「スウェーデン・フィンランド」国境の四線軌条です。1435mmと1524mmの軌道が互い違いに重なっています。両軌道の幅差は89mmしかなく、とても狭い軌道を広い軌道の真ん中に置けません。そのため、互い違いに配置しています。

Mixed 1520 and 1435 mm gauge on Lithuanian part of Rail Baltica line between Mockava and Šeštokai
 こちらは「ロシア」です。軌間は1435mmと1520mmと、上の写真よりさらに幅さが少なく85mmです。

四線⇔三線切り替え
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 四線軌条と三線軌条の境界がありました。「京急」の「六浦駅」にある特殊分岐器で切り替えます。場所は「スイス」です。


四線軌条の分岐器
 もはや余計な説明不要です。すごく複雑です。少ない線路に多くの列車が走り負担が大きい「日本」の旅客路線ではまず採用されないでしょう。
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 四線から一方向が普通の二線に分岐します。複雑です。そして、左側の線路間隔が狭すぎです。

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 何も言えません。ただただ圧倒されます。

三線以上の軌条 その1 三線軌条(主に海外)

 これから、三線軌条とそれをはるかに超える軌条を紹介していきます。まずは、基本の三線軌条を外国の事例から紹介していきます。
 「日本」の三線軌条は以下の記事を参照にしてください(「京急」の場合)。
『「京急」の三線軌条 その1 概要』
『「京急」の三線軌条 その2 「六浦駅」の不思議な分岐器』

Dual gauge, 1,435 mm (4 ft 8 1⁄2 in) standard gauge and 914 mm (3 ft) track in Cuzco, Peru
 「ペルー」の三線軌条です。軌間は1435mmと914mmで、幅比は約1.57倍です。「日本」によくある三線軌条(1435mmと1067mmの幅比約1.34倍)と比べてかなり比が違います。

n Jenny, Sweden, the narrow gauge leaves the standard gauge
 「スウェーデン」の三線軌条です。標準軌と狭軌で軌間幅は不明ですが、恐らく1435mmと「スウェーデン」仕様の891mmでしょうか。それならば幅比が約1.61倍です。

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 「スペイン」の三線軌条です。軌間は1668mmと1435mmで、幅比は約1.16倍です。かなり密になっています。

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 「オーストラリア」の三線軌条です。軌間は1600mmと1435mmで、幅比は約1.11倍で、非常に密になっています。この幅比が最下限値に近いのでしょうか。おまけに分岐器です。かなりの試行錯誤が感じられます。

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 同じく「オーストラリア」の三線軌条です。以前紹介した「京急」の「六浦駅」のあの分岐器と同じ形の分岐器(狭い軌間の方を反対側へ移動させる型)がありました。こちらの幅比も上の写真とおなじです。

【動画】『新幹線を間借りした鉄道 その4 「東海道本線」の間借り -「星越トンネル」編-』

 今回は、「東海道新幹線」の間借り事例の2つ目である「星越トンネル」を紹介します。「阪急京都本線」の間借りや「日本坂トンネル」での間借りと比べてかなりマイナーですが、歴史を紐解くとこれもほかの間借りに負けず劣らず複雑な歴史を経ています。



次回予定
『新幹線を間借りした鉄道 その5 「阪急京都本線」の間借り』

 新幹線を間借りした鉄道の中で、一番有名な事例です。「日本坂トンネル」や「星越トンネル」よりも、配線や路線切り替えの複雑性は少ないですが、これもまた他とは違ったドラマが繰り広げられた場所です。

次々回
『新幹線を間借りした鉄道 その6 「えちぜん鉄道」の間借り』(間借りシリーズ最終話)

 ただいま現役間借り中の、「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借りです。この間借りはあと2年ほど続きます。

 今の気分では、間借りシリーズを完結させてぼちぼち登山学シリーズを続けそうです。

「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借り その5 「新福井」~「福井口」(線路下)

 このシリーズも今回で最後ですが、今回は「新福井」~「福井口」間を地上から見ていきます。写真の大半が接続線の拡大撮影です。

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 接続線は、本当に仮造りで盛土とH鋼を井桁状に組み合わせた橋脚で構成されています。

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 勾配が34‰もあるので、短距離で橋脚がどんどん高くなっていくのがよくわかります。橋脚がプラレールみたいです。そのうちの坂曲線レール用のミニ橋脚のようです。

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 真横から撮影するとこうなります。以前紹介した「九州新幹線」の35‰勾配なみに露骨に坂だとわかります。

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 逆方向(「福井」方面)からも撮影。ここまで簡易に作ってある高架橋もそうそうないです。

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 接続線と新幹線高架橋の境です。こうして下から見ると、両者の違いがよくわかります。こういう異物同士の接続構造物は「成田新幹線」高架橋などにもありますが、ここまで重構造なものと簡易なものがつながっている場所は大変貴重です。

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 「北陸本線」側から撮影。「北陸本線」側はすでに完成済みのため、よく整備されています。

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 本来の「えちぜん鉄道」の用地から撮影。この辺りも線路が撤去されています。

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 「新福井駅」付近。こちらも線路撤去済みです。

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 踏切跡にはまだ線路が残っていました。

「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借り その4 「新福井」~「福井口」(線路上)

 最後に、「新福井」~「福井口」の区間を2回に分けて紹介します。前半は線路の上側を見ていきます。

「新福井」~「福井口」(北側視点)
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 前回と同じく、運転席からの展望を両方向から見ていきます。まずは、「新福井駅」から「福井口駅」側を撮影。「福井駅」から複線だった線路は高架橋を降りる直前で単線になります。「北陸新幹線」の高架橋は左側の「北陸本線」の高架橋より若干高いです。

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新福井→福井口AVI_000035514
 上下線が合流して単線化してすぐに高架橋は途切れ、線路はジェットコースターのように下っていきます。新幹線用のスラブ軌道のコンクリート路盤をチラ見できます。


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 接続線に差し掛かりました。勾配は34‰と電車の一般的な最急勾配に近いものです。勾配表記も仮線らしく簡素なものです。

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 途中からは「福井駅」と同じく壁がない状態で曲がるため、下る方はかなり迫力があります。線路が仮なのがよくわかります。

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新福井→福井口AVI_000079907
 地上に降りてすぐに「福井口駅」へ着きます。右側の空き地は本来の「えちぜん鉄道」の用地です。

「福井口駅」
福井口AVI_000001094
 次に「福井口駅」の様子です。まずは、少し北側にあるこの景色です。手前にある高架橋は、「えちぜん鉄道」用の新しい高架橋です。ちょうど「三国芦原線」と「勝山永平寺線」の分岐点にあたり、これだけはかなり初期に造られています。さらに奥は「北陸本線」の高架橋で、新幹線はその間を通ります。

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 「福井口駅」です。この駅も今後高架化されるので仮駅として簡易な作りになっています。

「新福井」~「福井口」(南側視点)
 「福井」方面へ向かいます。この方向では、接続線の全容と新幹線の高架橋の断面がよく見えます。
福井口→新福井AVI_000016015
 「福井口駅」を出てからすぐに線路は接続線へ差し掛かります。

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 接続線の全体がよく見えま。盛土と鉄骨を組み合わせた、明らかに仮作りの高架橋なのがよくわかります。

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 接続線の終端付近からは、新幹線の高架橋の断面も見えます。新幹線高架橋の複線断面と接続線の単線断面の境界のギャップが大きいです。

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 接続線の後はこんなに豪華になっています。

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 こうしてみると、市街地名だけあった結構カーブしています。左端に「福井駅」のホームが見えます。

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 「新福井駅」ホームです。逆方向から見ても、詰め込んだ感がよくわかります。

「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借り その3 「福井」~「新福井」

 今回は、「福井」~「新福井」の区間と「新福井駅」を紹介します。まずは、運転席からの風景を北側と南側の視点から見ていきます。

「福井」~「新福井」(北側視点)
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 「福井駅」出発直後の様子です。間借りの仮線は、新幹線の軌道にずっと沿っているわけでもなく、内側により新幹線のスラブ軌道のコンクリート路盤(右端の円柱突起の列)がチラ見しています。わざわざ新幹線に合わせるとバラストをまく範囲が増えたり線路量が微妙に増えたりでかえって大変になるのでしょうか?
 本線がカーブしているためか、渡り線はクロスしていません(シーサスポイントではない)。

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 「福井」~「新福井」の間です。この辺りでは「えちぜん鉄道」の線路が新幹線の路盤にきっちり沿っています。

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 「新福井駅」のホームです。高架橋内にプラットホームを辛うじて収めています。そのためホーム幅は2m前後しかありません。ホームから写真を撮っている同士を発見。ホーム同士を結ぶ踏切が設置され、ここで間借りを一番体感できます。

「福井」~「新福井」(南側視点)
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 「福井駅」先端の車止めを運転席視点から撮影。この先を見ながらのホーム進入は結構スリルがあります。心なしか、結構徐行していました。「福井駅」では高架橋の壁も未設置のため、逆の西側のホームへの進入を電車内から見るとさらに迫力あるでしょう。

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 新幹線ができるときには、写真少し手前の基礎部までホームが延びるのでしょう。

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 右奥の建屋は「北陸本線」の「福井駅」ホームです。左側には、新幹線のためにあらかじめ設置されたスラブ軌道の基礎コンクリート路盤の円柱がきれいに並んでいます。

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 少し進むと、バラストが堰でせき止められています。

「新福井駅」(下から)
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 「新福井駅」の駅舎を下から撮影。手前から奥にかけての空き地は、本来の「えちぜん鉄道」の用地です。これからここが高架化されます。

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 「新福井駅」の駅舎も非常に簡素で仮のつくりをしています。

「新福井駅」(ホームから)
 そして「新福井駅」のホームへ登りました。「新福井駅」は改札がないため、ホームまではタダで入れます。
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 「福井口」側を撮影。

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 「福井」側を撮影。ホームが非常に狭いです。ホーム自体が高架橋の壁にほぼぴったんこしています。ただ、ホームに高さがあるため新幹線の壁だけでは安全上問題があるため、ホームに柵が造られ、仮駅としてふさわしく、高架橋の壁上にも単管パイプによる柵が置かれました。勿論クランプカバーも抜かりないです。

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 空き地となった「えちぜん鉄道」の用地を撮影。しっかり帯状に空き地となっています。奥に「北陸本線」の「福井駅」駅舎が見えます。

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 「福井口」側を拡大して撮ると、奥に新幹線高架橋の端部が見えます。「えちぜん鉄道」は高架橋と地上の接続線では単線になるため、複線が合流してから下って行きます。

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 線路の拡大です。「えちぜん鉄道」の軌間は1067mmで新幹線(1435mm)より狭いです。見た感じ、線路は広い新幹線の路盤の真ん中に置かれているようです。

間借り線路に降り立つ
 以前は「北海道新幹線」開業前に「奥津軽いまべつ」駅で線路に降り立てましたが、現在では「新福井駅」が間借り線路に降り立てる「日本」で唯一の場所です。

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 「福井」側を撮影。

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 「福井口」側を撮影。間借り区間全体に言えることですが、こんな景色を見たり踏み入れたりできるのはあと2年ほどです。

「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借り その2 「福井駅」

 今回から、現地の写真を交えて解説します。まずは、「福井駅」です。

現在、「福井駅」は全体の高架化の真っ最中です。「北陸新幹線」、「北陸本線」、「えちぜん鉄道」のうち、「北陸本線」は高架化完了、「北陸新幹線」は「福井駅」部とそれより「金沢」側の800mが先行高架化され、現在「えちぜん鉄道」の高架化工事が始まっている状況です。

 「北陸新幹線」の高架橋は基礎部ができている状態で、新幹線用の線路や架線、プラットホームや建屋はまだ未設置です。そんなどだいに「えちぜん鉄道」に必要な最小限の設備が造られています。

高架橋下より
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 まずは、「福井駅」のプラットホームをしたから見上げてみます。新幹線の高架橋自体が豪勢なため、2両編成の車両がかなり違和感あります。高架橋は必要最低限造られていて、線路脇の壁も未設置です。

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 もう少し近くから見てみます。「福井駅」より「敦賀」方面はまだ造られていません。手前の空き地は「えちぜん鉄道」の本来の用地で、ただいま高架化工事の準備中です。前回の記事の空中写真では線路が見えましたが、今はありません。

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 「敦賀」方面から撮影。高架橋がスパッと途切れています。まだ建設途中なのが露骨にわかる珍しい形です。


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 こちらが高架橋真下の「えちぜん鉄道」の仮駅改札口です。かなり簡素な造りです。

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 階段も完全な仮設です。両側は金属板で囲われ、単管パイプを組み合わせた雨よけが取り付けられています。将来新幹線ができた時はちゃんとした設備になるでしょう。


プラットホームより
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 次にホームへ登りました。線路はもちろんのこと、プラットホーム、枕木、架線、バラストなどなど高架橋の躯体以外はすべて仮設です。冒頭でも語りましたが、壁すらないので結構迫力があります。「北陸新幹線」の高架橋は、この辺りではスラブ軌道ですが、「えちぜん鉄道」用にスラブ軌道の路盤の上にバラストや枕木などが置かれました。

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 「えちぜん鉄道」の車両は基本2両編成なので、この設備にはかなりちっちゃいです。ホームは仮設のため、「えちぜん鉄道」の車両に合わせた規格になっています。

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 終端側の線路は、ホームよりもかなり先まで延びています。かつて車止めを突き破った事故がほかの鉄道路線で起きたため、その対策で余裕を持たせたのでしょうか?先っぽにも壁がないため、線路を越えたら下に落ちます。
 「北陸新幹線」の線路は当然ここが終点でないため、この先にも用地が確保されているのがよくわかります。

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 新幹線用のスラブ軌道のコンクリート路盤の上に「えちぜん鉄道」用の枕木と線路が乗っかっている様子です。さりげない景色ですが、こんなものめったにお目にかかれません。枕木の間に円柱のコンクリートの柱が出ていますが、これがスラブ軌道の基礎部の突起で、新幹線を造るときにこの突起とスラブ軌道をかみ合わせます。

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 さらには、スラブ軌道の路盤の上にバラストまで積まれています。バラストが周りに崩れ散らないように、端に壁が造られています。

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 ホームの端から「福井口」方面を撮影。写真中央手前の基礎部は、恐らくプラットホームの基礎です。

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 奥を少し拡大。「えちぜん鉄道」用の線路は、新幹線の軌道路盤とあまり関係な配線されています。これを実現するために、スラブ軌道基礎の上にバラストをジャラジャラ盛土状に積み上げています。

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 さらに奥を拡大。右側にスラブ軌道の路盤がすでに造られています。円柱の支柱がちゃんと並んでいます。新幹線は、この路盤に沿って「えちぜん鉄道」よりも緩やかに進みます。

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 少し右に視点を移すと高架橋全体が見渡せます。写真中央に「新福井駅」、右端に現在完成済みの高架橋の端部と、その先の地上との接続線が辛うじて見えます。

おまけ
 写真を撮りに行ったのは3月27日でした。この時は全く考えていませんでしたが、この日は 「福井鉄道」の「福武線」の「越前武生駅」~「えちぜん鉄道三国芦原線」の「鷲塚針原」間で相互直通運転を開始し、同時に「福井駅前」を「福井駅」西口広場に移設した日でもありました。

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 今までは路面電車の線路は「福井駅」からちょっと離れた場所で途切れていましたが、143m延長されました。この路面電車にも「ヨーロッパ」っぽい車両が増えてきました。

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 かつては「福井駅前」の線路は1本線でしたが、2本線に増えていました。

「えちぜん鉄道」の「北陸新幹線」間借り その1 全体を俯瞰


 もはや過去のものとみなされた、ほかの鉄道路線の´堂々とした´新幹線路線間借りは、現在も続いています(ただし期間限定)。それは、「福井」の代表的な鉄道である「えちぜん鉄道」の「福井」~「福井口」間で、すでに基礎が完成している「北陸新幹線」の高架橋、約0.8㎞の区間です。

 「えちぜん鉄道」のこの区間は、もともと「北陸本線」と「北陸新幹線」に並行しています。「北陸新幹線」建設と並行して「えちぜん鉄道」を高架化する際に、仮線を造る必要がありました。そこで先にできた「北陸新幹線」の高架橋を間借りすることでこの問題を解決。平成27年(2015年)9月23日~高架化工事が終わる平成30年(2018年)秋の、約3年間限定の間借りとなりました。

 現在でも「瀬戸大橋」などをはじめとして新幹線を間借りする例はいくつかありますが、路線が駅ごと堂々と新幹線構造物を間借りする例は、今から53年前の「阪急京都本線」の「東海道新幹線」間借り以来です。間借り区間の途中に駅があるため、新幹線の高架橋に直接足を踏み込める大変貴重な名所です。

まずは、地図(グーグルマップ)や空中写真(Google earth)からその全貌を見てみましょう。
googlemap.jpg
 間借り区間は、「えちぜん鉄道」が分岐する「福井口」~「福井」の区間にあり、「福井駅」と「新福井駅」のホームは新幹線の高架橋にすべて乗っかっています。

配線図
 間借り区間のおおよその路線関係です。本来青い線に沿う「えちぜん鉄道」が、「北陸新幹線」の赤ルートに乗り入れているというわけです。

間借り区間全体
間借り区間全体
 一番上が「北陸本線」、真ん中が「北陸新幹線」の高架橋、一番下の線路は「えちぜん鉄道」の線路です。写真左の「福井駅」ホームから右端まで「北陸新幹線」の高架橋が完成しています。「えちぜん鉄道」の線路は、この完成した高架橋全てを間借りしています。

「福井駅」
福井駅
 「福井駅」部です。一番上が「北陸本線」、真ん中が「北陸新幹線」の高架橋で現在「えちぜん鉄道」が間借りしています。一番下の線路は本来の「えちぜん鉄道」の線路です。

福井駅 拡大

1面2線2
 「福井駅」の部分を拡大してみました。「北陸新幹線」の高架橋に線路がはっきりと映っています。この線路は新幹線のためでなく、「えちぜん鉄道」のために敷かれています。「北陸新幹線」の高架橋には、新幹線用のプラットホームが一部出来ていますが、写真をよく見るとそのごくわずかな区間にプラットホームの屋根が見えます。この屋根は「えちぜん鉄道」の間借りのために造られました。
 本来の「えちぜん鉄道」の位置にはまだ線路がはっきり見えています。まだこの写真が撮影されたときは間借りの準備中で、実際の列車は本来の線路を通っている状況です。

「新福井駅」
新福井駅
 「新福井駅」は、本来なら新幹線の駅なんぞ絶対にできない場所にあります。なので新幹線の高架橋にはホームや駅舎を置くスペースはありません。なので、プラットホームを極力細くして無理やり新幹線の高架橋内に収め、駅舎を外側に張り付かせています。しかも、隣のプラットホームへ移るのに踏切を通るため、線路を横断することになります。つまり、最も間借り感を近くで感じられる駅です。新幹線上のホームが本来のホームとぴったり並んでいます。

接続線
間借り教会
 「北陸新幹線」の高架橋が完成しているのは0.8kmの区間のみで、途中で途切れています。ここで「えちぜん鉄道」の間借りは終え、途切れた高架橋から地上へ34‰の急勾配で下っていきます。

「福井口駅」
間借り境界2
 「えちぜん鉄道」のジャンクション駅である「福井口」です。ここでも新しい仮ホームが造られています。様々な配線やスペースの関係上、少し離れたところにあります。まだ間借りの準備中で、新しい線路は途切れ途切れになっています。「北陸新幹線」の高架橋は、「えちぜん鉄道」とほぼ並行して造られていきます。

次回から現地の様子を挙げていきます。

ループ線専門のブログ

 かなり久しぶりですが、ほかの方のブログ紹介をします。
 内容は、世界のループ線をとことん紹介するものです。しかも超有名なものからマイナーなものまで地図上でのさらっと紹介だけでなく、線路スペックや歴史などをかなり詳しく解説しています。

 自分としては、こういうジャンルのサイトは何年も心待ちにしていました。何故かといいますと、世界のループ線をこれだけ扱った書籍やサイトが見当たらなかったからです。ループ線はその手の人が食いつきそうな分野ですが、「世界のループ線大図鑑」なる情報源が不思議なくらいになく、あっても断片的でした。いったいどうすればこれだけの情報が得られるのかとても気になります。

 今後閲覧や動画づくりなどでこのサイトにはお世話になるかもしれません。

リンク先です。
『ループ線マニア  世界の山岳鉄道愛好会』

【動画】 『鉄道登山学 その11 新幹線と勾配 -「北陸新幹線」の「飯山」越え-』

 「北陸新幹線」シリーズ3部作のうち最後の動画を投稿しました。今回は、もう一つの30‰勾配多発地域の「飯山トンネル」を解説します。ただし、メインはかつて計画されていた「長野」~「富山」間を「立山連峰」直下を走るトンネルで一気に結ぶ構想について、そしてトンネル史上最悪の地質ともいわれた「ほくほく線」の「鍋立山トンネル」になります(「飯山トンネル」に近く地質も似ているとされていたため、両社は実は密接な関係)。なんだか「飯山トンネル」がサブになった感です。

 なお、「北陸新幹線」の「立山トンネル」ルートと断面図はほぼ推定妄想で書いています。よく考えてみれば、実際は「長野」中心街をもっと避けるルートが現実的です。



次回予定
【動画】 『鉄道登山学 その12 新幹線と勾配 -「九州新幹線」の35‰-』

 やっと次の路線に移れます。これで現役新幹線はすべて網羅できますが、たぶん「鉄道間借りシリーズ」の方がさきにうpされそうです。

かつて計画されていた新幹線ルート その4 長野~富山 追記:妄想平面図と断面図

現在建設されている北陸新幹線の長野~金沢の間ですが、あと6年で開通予定です。ルートは長野から飯山と上越南部をとおり日本海側に抜けてから北陸本線と若干離れて並行しつつ、富山へ向かいます。地図で見ればかなり大回りをしていますが、かつては長野から真西に向かい、白馬を横切り立山連峰を貫いて直接富山平野に出るルートが考案されていました。

北陸新幹線
 こちらが長野~富山の間のルート図です。緑色の線が実際に建設されているルート、赤色の線がかつて候補に上がっていた理想のルートです。詳しい試料が無かったため、適当にひきました。こんな感じだと思っておいてください。

 こんな計画もあったのですが、お察しの通り、立山連峰は3000m級の山々がそびえる大山脈で、断層破砕帯、火山帯でもあり地質が非常に悪いです。←日本ってこういう場所ばっか、だから工事が予定より遅れるんです
 そこを貫くにはあまりにも手間がかかり且難工事が予想されること、飯山、上越地域の自治体の誘致運動も合い極まり、現在のルートになりました。もし、立山連峰を貫くルートで建設されれば、路線距離が現在のルートより約60kmも短縮され、勾配も緩やか?になり高速運転が可能なため東京~富山の間を2時間以内で(1時間40~50分くらい?)走破できたかもしれません(現在のルートでは2時間10分)。

追記:妄想平面図と断面図

 製作中の動画のために、この「立山トンネル」の平面図と断面図(完全に推定妄想)を造りました。

「立山トンネル」の推定スペック
全長:約70㎞
現在世界一の「青函トンネル」は53.85㎞、
世界一になる「ゴッタルドベーストンネル」は57.09㎞

土被り:約2000m
現在日本一の「大清水トンネル」は約1300m、
世界一になる「ゴッタルドベーストンネル」は約2300m

「高熱隧道」の場所を通る可能性(岩盤温度が最高166℃になった地熱地帯)



平面図

立山トンネル平面図
 外側線が黄色になっている部分が「立山トンネル」です。線路標高は、当時(今から30~40年前)10km以上連続するなら望ましいとされた最急勾配の12‰として考え、100mごとに色分けしています。「長野」~「富山」間の距離から、推定最高標高は650mです(ずっと12‰勾配を連続させてた場合)。

断面図
立山トンネル断面図12‰のみ - コピー
 こちらは断面図です。ウォッちずから「立山トンネル」沿線の地形をめちゃくちゃ大まかに再現しました。「立山トンネル」が構想されていた頃提唱された12‰ルートと、現在の新幹線なら可能である30‰ルートで造ってみました。
 12‰ルートでは、谷地形である「白馬」(標高700m以上)ですらギリギリ地上に出られず、「長野盆地」~「富山平野」の間、約70㎞が全てトンネルになります。
 30‰ルートでは、「白馬」や「黒部峡谷」などで地上に出るため、トンネルの長さは長くても20km台となります。まるで「リニア中央新幹線」の「赤石山脈」越えのような展開です。ただし、雪や落石対策でトンネル間はシェルターで覆われて実質ほとんどがトンネルになるでしょう。

「青函トンネル」見学 その4 体験坑道へ降下

 ようやく「体験坑道」(かつての「竜飛海底駅」今でいう「竜飛定点」の近く)に入ります。
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 この「体験坑道」は、かつての「竜飛海底駅」につながる地下通路で、海面下140m近くまで専用のケーブルカーで降りていきます。ちょうど1年ほど前に、列車火災事故で初めて避難設備としてフル活用されました。上の写真はこの周囲の坑道地図ですが、「青函トンネル」本体だけでなく、周囲も建設のための坑道が網の目のように張り巡らされているのがよくわかります。「体験坑道」(緑色部分)までのコースは、ほんのごくわずかです。

DSCN2720.jpg
 海底下へ降りていくケーブルカー(「青函トンネル竜飛斜坑線」)です。
全長(一般公開されている部分)は778m、高低差約170m、最大傾斜250‰(約14°)、軌間は914mmです。

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 真横から見るとこんな傾斜です。

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 海底下へ降りる線路は普段は門で閉ざされていますが、通行時にこのように開きます。

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 前方から見るとこんな景色です。「立山黒部アルペンルート」の途中にある「黒部地下ケーブル」みたいです。

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 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の「第10の使途」侵攻時に、「ミサト」がネルフに下るケーブルカーで通話しているシーンがこんな感じでした。

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 終着場所の位置です。

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 斜坑とケーブルカーは、この先も続き、海面下約240mの先進導坑の基地まで続きます。以前は、体験観光でそこまで歩けたらしいですが、行ってみたいです。

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 降りた先にはこんな光景が広がっていきます。通路をこのまま進めば「青函トンネル」本坑につくでしょう。それにしてもみなさんよく写真をゆっくり撮らずにそそくさ進むものです。

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 おそらく「青函トンネル」建設時に資材運搬などのために使用されていた線路が残っています。写真右奥のトンネルは、ケーブルカーの斜坑につながっています。

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 拡大するとこうなります。線路がジェットコースターみたいに曲がりくねってケーブルカーの線路につながっています。奥に見える灯り部分がケーブルカーの斜坑です。使用当時はどのように使われていたのでしょうか?

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 広場みたいな空間には、何らかの資材が置かれています。

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 ところどころ照明に凝っています。

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 おそらくこの奥が「青函トンネル」本坑です。今は立ち入り禁止です。

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 色々分岐点があって初心者は迷いそうです。

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 「竜飛海底駅」であった時代は、快速「海峡」で途中下車してこの辺りを歩いたのでしょうか?

「青函トンネル」見学 その3 「竜飛斜坑口」

 今回は、最近も発煙事故で活用された元「竜飛海底駅」への入口の風景を紹介します。

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 近くには、巷では有名な階段国道がありました。

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 「竜飛定点」の入り口周囲です。この辺は今は殺風景な空き地のようになっていますが、「青函トンネル」建設時代はここが建設基地としてめちゃくちゃ繁栄していました。

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 かつては工事関係で掘られた穴も必要に応じて封鎖されています。

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 中には地震計設置場として有効活用もされています。

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 何かの喚起や排水ポンプ施設の一つでしょうか?おそらく建設時代からずっと使われているのでしょう。

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 「青函トンネル記念館」です。海底下135mの「竜飛定点」への入り口でもあります。写真右側に、「竜飛定点」へ降りるケーブルカーの巻き上げ装置が見えます。


「青函トンネル記念館」の周りには、「青函トンネル」やその建設工事に関係するものが屋外展示してありました。「青函トンネル」が開通して27年近く野ざらしにされていたのか?結構風化していました。

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 「青函トンネル」の軌道です。ちゃんと新幹線用と在来線用の三線軌条になっています。

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 掘削用のカッタービッドです。

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 作業員運搬用のトロッコです。観光用に走っているものとそっくりです。

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 斜坑用のケーブルカーです。

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 生コンクリート運搬車です。生コンプラントから作業場までが非常に長いため、ミキサー車の鉄道型を使用したのです。
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