「九州新幹線」の35‰勾配をみてきた

「九州新幹線」は、35‰、道路でいう3.5%勾配(1000m水平に進むと35m上り下りする勾配)という、「日本」で最も急こう配な新幹線線路を保有する路線です。

 本来新幹線の一番急な勾配は基本的に15‰、全長が1.8㎞以下なら18‰、1km以下なら20‰までが認められ、特例で「上野」地下駅付近に25‰が採用されていました。
 勾配を克服する技術の進歩と建設費低減、地下水脈回避のためなどで「北陸新幹線」で初めて30‰勾配が使用され、「九州新幹線」に至っては、普通鉄道の基本限度である35‰が採用されました。

 「タモリ」と比べて坂への執着は小さすぎるものの、これだけの勾配は見るべきだろうということで見に行きました。場所は、「博多南駅」から4㎞弱南くらいまでの範囲です。この区間は、「福岡」圏の水がめである「筑紫山地」の地下水脈を新幹線のトンネルがなるべく避けるために高度を上げる必要があります。そのため、35‰勾配を採用して高度を極力稼ぐことにしました。

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 「博多駅」にて「800系」を撮影。

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 「博多」車両基地を撮影。カモノハシだらけです。「山陽新幹線」も、「東海道新幹線」並みの車両統一に近くなっています。

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 入選する「500系」を撮影。次の目標はエヴァ新幹線ですね。

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 洗車シーンに出くわしました。

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 上の2枚の写真は、「山陽新幹線」と「九州新幹線」の境界です。写真左側が「山陽新幹線」、右側が「九州新幹線」です。「山陽新幹線」は昭和50年(1975年)、「九州新幹線」は平成23年(2011年)に完成したため、この高架橋の境目には36年分もの時代差があります。地質学でいう、「平行不整合」です。これほどの時間差を持つ新幹線の境目はほかになく、「日本」一の新幹線境界と言えます。

35‰勾配

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 いよいよ35‰勾配に差し掛かります。これは、真横から見たものです。あまりにも露骨に傾いているのがわかります。

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 35‰勾配は、「博多南駅」をでて数百mですぐに表れます。少しでも高度を稼ぐために最大限駅に近いところから登り始めるようになっています。こうしてアングルを変えたりすると、めちゃくちゃ傾いているのがわかります。

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 山へ向けて高架橋がめちゃくちゃ高くなっています。このあたりの海抜は30m。新幹線の高架橋は高さ70~80mでトンネルに突入します。高架橋の高さ自体が30m近くもあります。

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 下から見上げるとこの高さです。

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 少しアングルと位置を変えて、坂の上側から下側(「博多」方面)を撮影。ジェットコースターのように下っています。坂のふもとまでは、ここから約1kmほどしかありません。

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 道路から少し丘に登る場所があったので、登って撮影。これだけ登っても新幹線の線路より低い位置です。

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 山を突っ切っている35‰勾配を遠方から撮影。この写真の範囲内だけでも20mくらいの高低差はあります。

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 前の写真の拡大。写真内に見える、「福岡空港」から離陸した飛行機の角度に近くも見えます。

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 海抜170m付近。坂が始まって4㎞ほど登ったところです。「福岡」市街地がはるか下ですが、右側に見える「九州新幹線」の線路は、そこまで下っていくので恐ろしいです。
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何故、「鳥栖市」と「久留米市」の両町に新幹線の駅が作られたのか?

 今年全線開業した「九州新幹線鹿児島ルート」(以下「鹿児島ルート」)には「新鳥栖駅」と「久留米駅」があり、両駅間隔はわずか5.7kmです。今や最高時速240km/h~300km/hで列車が走る新幹線の駅間距離は30~40kmが望ましいとされ、短くても15~20kmの場合が多いです。確かに、「東海道新幹線」の「東京駅」~「品川駅」間の6.8kmや、「東北新幹線」の「東京駅」~「上野駅」間の3.6kmのように、駅間距離が極端に短い例はこの限りではありません。しかし、この2例は大都市内で列車の運行速度が遅く(急カーブが多い・騒音対策など)、利用者の利便向上や利用者の流れ分散、ダイヤ調整をするためにこれだけ駅間距離が短くてもいいのです。一方で「新鳥栖駅」~「久留米駅」間は普通に列車がフルスピード(260km/h)で走る区間です。

 この区間に2つの駅が隣り合っている成り行きには、「九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)」(以下「西九州ルート」)がからんでいます。「久留米駅」は普通の新幹線駅、「新鳥栖」は「西九州新幹線」との分岐駅を目的に作られました。鉄道路線は、路線が分岐する場所に駅を造った方が何かと合理的なのです。ただし、「西九州ルート」はまだ建設中のため、「新鳥栖駅」が普通の駅に見えるのです。分岐駅として作る以上は「新鳥栖駅」はまだ作らなくてもいいように見えますが(沿線住民はそうは思わないでしょうが)、「西九州ルート」建設のめどがついてきたので「鹿児島ルート」建設と同時期に作ったのです。

新鳥栖と久留米 
 図にするとこんな感じです。ちょうど「新鳥栖駅」が「長崎」へ向かう「長崎本線」と交差する場所に位置します。「西九州ルート」は「新鳥栖」~「武雄温泉」間、「諫早」~「長崎」間は糖分が在来線の線路を利用する形での開業です(本当の新設路線は「武雄温泉」~「諫早」間のみ)。将来は全線を新幹線形式の新設路線で作り、「新鳥栖駅」にもそれなりの分岐路線が整備されます。しかし、現段階では「新鳥栖駅」で双方の線路をフリーケージトレインの変換機で結ぶか、「博多」~「長崎」間全線を在来線の列車が利用するかになります。ちなみに、後者の可能性が高いですが、それですと「新鳥栖駅」は分岐駅の役割を担いません。

かつて計画された大ジャンクション構想

 そうすると、「わざわざ「久留米駅」まで造らなくてもいいじゃないか?」という疑問がわいてきます。実は、「西九州ルート」と「鹿児島ルート」は完全な立体交差による三角線(デルタ線)で繋ぐ予定で、「久留米駅」もその分岐のための基地として計画されました。接続に関係する線路を全て立体交差にすることで交差支障を解消し、三角線にすることでどの方向からもスイッチバックをせずにスムーズに行き来できるのです。三角線のイメージは、高速道路のジャンクション(上空から見て道路がTの字を描くタイプ)や、線路でいえば「瀬戸大橋」の「四国」側の三角線を想像するとわかります。

新鳥栖と久留米2
 図にするとこんな感じです(※「西九州ルート(青線)」のルートはてきとーです)。「新鳥栖駅」と「久留米駅」がそれぞれの分岐点に位置します。ちょうど分岐点が2都市にまたぐため、分岐設備に駅が付加されて感じです(よーするに丸く収まる)。「東北新幹線」と「上越新幹線」が分岐する「大宮駅」や「上越新幹線」と「北陸新幹線」が分岐する「高崎駅」みたいなものが集まった形ですね。この異様に間隔のせまい2駅は、この大ジャンクション構想の名残なのです。

 ほかにも、「山陽新幹線」の「小倉駅」~「博多駅」の間にも、「東九州新幹線」との分岐点が、「岡山駅」付近には「中国・四国横断新幹線」との十字交差によるジャンクションがかつては計画されていました。

九州新幹線は何故、鹿児島側から開通したのか?

 九州新幹線は、平成16年(2004年)に新八代~鹿児島中央という、全体的に見て南半分が部分開通しました。本来なら博多~鹿児島中央が一挙に開通するか、北半分(博多~新八代)が先に開通するほうが自然な気がしますが、何故こうなったのでしょうか?
 それには以下の理由があるそうです。

九州新幹線

①地理的制約
 九州新幹線の路線の北半分は平野で人口密度の高い地域、南半分は山岳部で人口密度の低い地域という特徴があります。要するに人口密度の高い北半分の地域は用地買収が大変なのです。人口が増えてトンネルや橋の建設技術が進歩した現在では、平野よりも山間部に線路を造るほうが楽なのです。

②地形と線形によるもの
 九州新幹線の路線の北半分は平野が多く、南半分は山が多いです。つまり、在来線(鹿児島本線)の場合、北半分は平野が多い分線路をまっすぐ敷けるため列車を速く走らせることができ、山の多い南半分はカーブや勾配がきつくしょっちゅう速度が制限されます。色々な関係で博多~鹿児島まで一気に作れないので、在来線が相対的に速度を落とさざる終えない状態である、山間部の多い南半分(新八代~鹿児島中央)を先に開通させて、短縮効果を抜群にしようとしたのです。

③鹿児島県の強い要望
 どれほどかは不明ですが、鹿児島県が九州新幹線の南半分を先に開通させるように働きかけたのも、原因のひとつです。政治や経済の関係で整備新幹線の建設が遅れている今のご時勢で、万が一北半分(博多~新八代)が先に開通したら、「鹿児島までわざわざ造らなくてもいいんじゃない?」という意見が出てくる恐れを鹿児島県が持っていたのです。そして結局鹿児島県の意見が尊重されました。
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