「とき325号」の脱線被害が小さかった原因を地震の震源地から見る

 平成16年(2004年)10月23日に発生した「新潟県中越地震」によって「上越新幹線」の「とき325号」が脱線事故を起こしましたが、乗客乗員の死傷者が0という最小の被害で済むことが出来ました。ここまで奇跡的に被害が小さくなった原因には、以下のものがあります。

「兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)」の教訓から、高架橋を補強していた → 高架橋が崩れずに済んだ・高架橋の揺れが軽減された
脱線現場とその前後の線路が直線だった → 転覆、高架橋からの転落を免れた

近くに対向列車がいなかった → 二次被害を防げた(「上越新幹線」が過疎ダイヤであることもある意味幸いした)

乗客の数が少なかった → 結果的に被害者が出る確率が下がった

脱線した車両が高架橋の中央側に大きく脱線した → 高架橋からの転落を免れた

雪対策のため、脱線地点の路盤が砂利(バラスト)ではなくコンクリート(スラブ)だった → 面が平らなため、脱線後、スムーズに滑走できた

線路間の雪を流す溝に、大きく脱線した最後尾の車両がハマった → 車両の転覆を防いだ

脱線した車両がボディマウント構造になっている「200系」だった → 脱輪しても車輪とギアケースがレールを挟み、平らな床下機器収納箱の面がレールの上をうまく滑走する形になった


 とまあ、当時のニュースなどでこんな理由が挙げられていましたが、専門家の話では、地震の震源地と「とき325号」の脱線地点の位置関係が脱線被害を最小限にとどめた原因のひとつではないか?とも言われています。

新潟県中越地震と上越新幹線
 地震が発生した瞬間の「とき325号」と震源地の位置関係です。当時、「とき325号」は「新潟」方面に向けて最後のトンネルを出る瞬間でした。震源はその南に位置します。注目すべきは地震波の伝搬方向と「とき325号」の進行方向がほぼ同じということです。これは、「とき325号」が車両の真後ろから地震の衝撃を受け始めたことを意味し、その影響で10両編成の車両のうち後ろの方が大きく脱線しました。これが被害を最小限にとどめた原因の一つです

 ムカデ競走のとちゅうでこけた時を想像してください。後ろの人が急に止まる場合と前の人が急に止まる場合では、後ろの人が急に止まる方が全体のこけ具合(乱れっぷり)が小さいです。それは、後ろの人が急に停まると前にいる人たちは足を後ろ向きに引っ張られて動きを停められるからです(こけることには変わりありませんが)。一方、前の人が急に止まると、後ろにいる人たちが急に止まれずにどんどん押し寄せてきて将棋倒しのようになり、こけ方(乱れ方)やダメージが大きくなります。

 「とき325号」の脱線でも同じことが言えます。地震波が車両の後ろから来て後ろの車両の方が大きく脱線して、しかも一番大きく脱線した最後尾の車両が線路間の雪を流す溝にうまくハマったことにより、後ろの車両がアンカーとなって前の車両をも後ろ向きに引っ張るようにして車両全体が減速していきました。車両全体が引っ張られる形になって乱れが少なく、大きく線路から外れたり転覆したりせずに済んだのです。連結器が外れる危険もありましたが、結果的には回避されました。

 もし地震の震源が「とき325号」よりも北側(「長岡」方面)で地震波が車両の前の方から来て前の車両の方が大きく脱線したら…前の車両が勢いづいた後ろの車両にどんどん押されてつんのめり、平成10年(1998年)6月に「ドイツ」で起きた「ICE」の脱線事故(死者101人)のように車両全体が大きく脱線・転覆し、車両同士が押しつぶされていたかもしれません。

 さすがに震源位置に関しては人間にとって対策のしようが無い条件ですが、普段から行っている安全対策(耐震工事や日々のメンテナンス)と今回挙げたいくつもの神がかり的な状況+震源位置が見事に相極まって「とき325号」の脱線事故が最小限の被害で済んだのでしょう、。
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