「中山隧道」:「日本」最長の手掘り道路トンネル

 「新潟県」の「長岡市」(旧「山古志村」)と「魚沼市」(旧「広神村」)の境には、「日本」最長の手彫り道路トンネルがあります。名前は「中山隧道」で、れっきとした国道(291号線)のトンネルです。長さは開通当初が922m、崩落の影響で現在が875mもある一方、高さ2.5m・幅2mと断面が非常にせまいのが特徴です(貫通当初は高さ1.8m・幅1.2m)。現在の新しいトンネルが掘られるまでの50年もの間、国道道路トンネルとしての役割を担ったのです。当時は、車がこのトンネルをイライラ棒のようにすり抜けていきました。そういえば、懐かしの番組「特ホウ王国」でもこのトンネルが紹介されていました。

 「中山隧道」をまたぐ旧「山古志村」と旧「広神村」は、冬季は数mの積雪に阻まれ非常に危険で大変な山越えを強いられてきた豪雪地帯です。そこで、冬でも安全に通行できるトンネルの建設計画が持ち上がり、紆余曲折を経て掘られることになりました。昭和8年(1933年)のことです。当時は重機もなく村の人々自らがツルハシを使って掘り進めていきました。しかも、村の有志で行っている事業のため、報奨もありません。途中、戦争の影響で4年間建設が中止され、昭和24年(1949年)に貫通しました。実に16年もの歳月をかけて掘られた、本当の汗と涙の結晶ともいえるトンネルなのです。

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 旧「山古志村」方面より撮影。写真右側が手掘りの「中山隧道」、左側が平成10年(1998年)にできた新しい「中山トンネル」です。

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 この辺りには、「中山隧道」以外にも手掘りの隧道がいくつかあります。残念ながら、「新潟県中越地震」で崩落したものありますが、「中山隧道」は何とか生き延びました。

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 坑口です。一時期は廃棄も考えられましたが、将来に語るべき土木遺産として整備されました。それにしても、かつてこの狭い隧道を車が普通に走っていたとは、驚きです。

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 こちらが簡単な経歴です。

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 中はこのように、素掘りの部分もあります。この状態で875mも暗がりが続きます。この長大隧道を土木の専門家でもない村人がツルハシだけで掘るなんてすごすぎます。よほどのトンネル貫通に対する思いがあったのでしょう。

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 金網越しに、地山に触れます。何岩でしょうかねえ?

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 ツルハシの跡です。工事が始まってから78年もの歳月がたっていますが、くっきり残っています。村人の熱意がそのまま刻み込まれているようです。

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 異常出水が発生した場所です。ツルハシで掘っていて出水とは、想像を絶します。

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 待避所もあります。おそらく車と人のすれ違いのために、後に拡幅されたのでしょうか?間違っても車同士はすれ違えません。車でこの隧道に入るときに前方に車がいたら、ダイナミック譲り合いが繰り広げられます(「特ホウ王国」でもやってました)。

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 貫通点です。貫通した時の村人の達成感はどのくらいのものだったのだろうか?

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 所々、天井が崩落してこのようないびつな断面になっているところもあります。隧道というより洞窟みたいです。このように崩落防止のために金網を張ったり、モルタル(地質学的に砂質泥岩っぽいもの)を吹き付けたり、鉄骨で補強を施したりしています。

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 上の2枚の写真は、同じ場所でそれぞれ反対方向を撮影したものです(上の写真が旧「広神村」方面、下の写真が旧「山古志村」方面)。つまり、それだけこの隧道が長いということです。断面が小さい分、出入り口も小さく見えるのでその分さらに遠く見えます。

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 所々、このような横穴がありました。工事の時の資材置き場だったのでしょうか?

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 旧「広神村」の坑口です。こちら側は水が溜まっていて通行止めです。つまり、もと来た道を引き返さなければいけません。全長が875mということで、通り抜けるだけでも15分、全力疾走すれば(したら方向感覚を失って壁にぶつかるでしょう)3分かかります。
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この記事へのコメント

- ヒバリ - 2012年11月11日 03:21:53

こういう廃隧道物件いいなぁ。
それにしてもブレずに普通にきれいに撮れるもんだね。
自分のデジカメは2004年の時に買った1台目から数えて
Fine Pix F700
Fine Pix F11
Fine Pix F100fd
Fine Pix F550EXR
4台目になりますが(2年に1回はカメラを買い換えている)、特に暗い場所で自動できれいに写すということが2004年の時と比べて格段に簡単にできるようになったと思います。(2004年当時のデジカメは暗いところできれいに写すには三脚必須だった)

ニコ動で廃線 廃道 廃隧道紹介してくれる人の更新が休止中なので、こういう記事も楽しみにしてます。

- 太郎 - 2012年11月19日 22:52:57

>ヒバリさん
 まじで!あの人休んでいるのか。むしろ今まであれだけ歩き回ったことがすごいよね。デジカメも何年かで知らないうちにすごい進歩したんだな。

地震でも残った、手掘りのトンネル - katsuosan - 2016年06月21日 11:11:45

新潟中越地震で、重機で掘った平成の(新しい)トンネルは、崩れましたが、「中山隧道」:「日本」最長の手掘り道路トンネルは、崩れずに残ったそうです。

村民の方が有志で掘った汗と涙の結晶ともいえるトンネルが、地震の後自衛隊員の方が、そのトンネルを使って、救助をして、救援物資を運搬したと伺いました。

大勢の真実は時代を経ても残るものなのですね。

- 太郎 - 2016年06月26日 23:13:51

>katsuosanさん
 そこまでの逸話は知りませんでした。多くの現代建物が崩れたギリシャ地震で「パルテノン神殿」が崩れなかったように、昔の建物の方が不思議と地震で崩れないものですね。

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